「セーラー服の歌人 鳥居」を読む

「セーラー服の歌人 鳥居」岩岡千景著、KADOKAWAを読んだ

悲惨な境遇にあった歌人が、芸術/短歌に出会い、その感動を心の支えに生きたノンフィクション作品

以下、本書からの抜萃

①《世界を美しく切り取った芸術に出会えて感動できたら、うつの人も、人生に面白みを感じて生きていけるんじゃない。生きていると、つらいことばっかりだから・・・感動がなかったら、とてもやっていけない。そして、つらい思いが勝ったら、死のほうに心の針が振り切れてしまう。
たった1枚の絵が、何十年、何百年にわたって人を生かすとしたら・・・すごいな、と思うんです。


②《短歌を詠んでも、孤独が消え去るわけではありません。でも、自分がほかの人の作品に何かを感じた時や、誰かが自分の作品に共感してくれた時に、「こんなにどうしようもなく孤独な人が自分以外にもいたんだ」と、孤独を分かち合うことができます。

『キリンの子 鳥居歌集』を読んで、創作は作者の自己治療に有効だったようです、という感想を持ちましたが著者/鳥居は、そんな自己中の狭い心だけではなく、もっと広い心を持っていたようです
大阪・梅田駅に「生きづらいなら短歌をよもう」と書いたプラカードを掲げ、道ゆくに呼び掛けたそうです

「キリンの子」を読む

「キリンの子 鳥居歌集」鳥居著、KADOKAWAを読んだ

何かで読んだ
《目を伏せて空へのびゆくキリンの子 月の光はかあさんのいろ》
という短歌が、印象にのこっています
ホンワカした印象で、谷崎潤一郎の書くような母恋もの路線だなあ、と思いましたが、とんでもない、言いようのない背景があったようです

いずれにしても、創作は作者の自己治癒に繋がったようです

「近代秀歌」を読む

「近代秀歌」永田和宏著、岩波新書を読んだ

明治、大正、昭和、平成に詠まれた代表的な名歌を、近代秀歌と現代秀歌の2冊に分け、それぞれ100首を選んで編集したアンソロジーのうちの1冊〈近代秀歌〉
姉妹編の〈現代秀歌〉は、第2次大戦後に詠まれたもので、それ以前は、近代という区分けのようです

近代秀歌に、選ばれた歌の中では与謝野晶子の歌が、中学や高校の教科書で学んだ先入観と違って、印象的でした

石川啄木、若山牧水の歌も、やはり教科書で読んだ記憶があり、名歌として今も心に残っています
啄木も牧水も、若くして亡くなっていますが、啄木の生涯はよくドラマで放映されますので、おおよそ知っていましたが、牧水の生涯は、旅や酒の歌から来る漠然としたもので、殆ど知りませんでしたが何らかのトラウマがあったようで、悲惨な晩年だったようです
しかし、古来の和歌(古典的和歌?)の変革期で、時代も明治維新で若かったのか、溌剌とした印象です

与謝野晶子、石川啄木、若山牧水の歌が若々しくて好みですが、斎藤茂吉の歌は、あまり好みではありません

マーウェンを観る

異装の好みがあって、特に女性の靴に関心があり、いわゆるフェチをカミングアウトしたら
数人の男に気持ち悪がられ、酒のせいもあって、暴力を受け、記憶を喪失した男の再生の物語

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男は、女の靴に異常な関心を持ち、いわゆるフェチで、なん百と収集したり
一方、女はポットを収集しているのも
何んらかの、象徴的な意味があるようですが、よく解りませんでした

「〈雨の木〉を聴く女たち」を読む

「〈雨の木〉を聴く女たち」大江健三郎著、新潮文庫を読んだ

知人にK君という大江の愛読者/ファンがいて、ヘルメスの時代から、よく読んでいたので、連作短編があることは、よく知っていた

K君は、阿佐ヶ谷の下宿屋にいて、そこへ数度訪ねて新知識を教えて貰いましたが、・・・ヘルメスもそうです・・・阿佐ヶ谷を出てからは数年、東京の各所に転居していたようですが、最後は郷里に帰って教育関係の仕事について、現在は消息不明です

この連作小説は、将棋の駒の布石のように、慎重に事柄の関連を説明しつくしていますが、気の滅入るような事件が描かれています
雨の木、というメタファーは、音楽が先か短編小説の連作が先か、音楽家も小説家も同じくヘルメスの同人ですから、どちらが先というより、お互いに影響しあったのでしょう

「ある男」を読む

「ある男」平野啓一郎著、文芸春秋を読んだ

病死した次男が原因で、夫と不和になり離婚したバツイチ子持ち女性が、都会生活から逃れ長男を連れて寂れた郷里に戻りましたが
再婚して、新しい家族の3人で幸せに暮らしていたのが、再婚した2度目の夫が事故死して、聞かされていた話とは違い、他者に成り済ましていた、という男の物語

失踪事件がマスコミで話題になりましたのは、北朝鮮による拉致があって
それを認めたという小泉内閣の時代でしたから、もう何年前になりましたか、戸籍をいろいろの事情があって
取り換える、という事実が明るみに出て、それを弁護士である話者が追及していく、という、複雑な話

ハイ・ライフを観る

地球から移住を企てる人類が
宇宙空間で人類を産む、という危険な初めての実験/試みを

画像

成功の暁には、犯罪者が英雄として記憶される、という
飴と鞭の脅し/唆しに乗って、アウトローの重い犯罪者が志願する、という映画

かつて大英帝国がオーストラリアを植民地にした時
入植者がいなくて、用いた手法を連想しました